第15話ーお母さんにわかってもらえない

今日は、リリーとしては、かなり珍しく昼間の出張鑑定。

その切っ掛けは・・・

 

介護士である友人山岡の娘が、昔から「視える」という話を母親にしているのだが

その介護士の山岡は、「そんなことあるわけない!」と全面否定。

 

山岡は、リリーに

「うちの娘が訳の分からないことを言うのよ。

家の中に霊体がいるとか、それが悪さするとか… 

変じゃない?」

と呆れて話した。

 

リリーは真顔で答えた。

「変じゃないと思うけど…

あなたの娘は視えてるから、そりゃあ、大変そうね」

タバコに火をつけて、思いっきり煙を吐く。

 

山岡は

「はぁ?! うちの娘は本当に視えてるって事?!!

意味わからんし、私は視えんし、そんなん言われても分かるわけないし」

動揺した声で言った。

 

リリーは低い声で、ゆっくりと話し始めた。

「あなたの娘は私と同じ様に生きてない人たちを見てしまう瞬間があるの。

本当は、見たいわけじゃない。

でもね、周波数が偶然に合ってしまって、とても怖い思いをすることがあるの。

それを自分の母親に話して… 全否定をされると、それは、かなり、寂しい話だなって思う…」

 

リリーは続けた。

「だから、あなたの娘の家に行く事を引き受けるわ」

 

そう言って、今回の昼間の出張鑑定が決まったのだ。

 

その出張鑑定当日、山岡の娘の家の前にリリーは到着した。

 

山岡と家の前で合流して、互いに軽く会釈をしてピンポンを押した。

 

「はーい」

山岡の娘、ゆみは返事をしながらドアを開けた。

 

「初めまして〜。お邪魔するわぁ〜」

リリーは笑顔で靴を脱いで家の中に入った。

 

「この人が、リリーさん。私には分からないから来てもらったわ」

山岡が2人の顔を交互に見た。

 

リリーはリビングのマットの上に座ると部屋をグルリと見て口を開いた。

「あの、お風呂場の入口の人は、ずっと居るの?」

 

ゆみは大きな瞳を更に大きくして言った。

「解ってもらえるんですか?」

 

リリーは微笑んだ。

「それと、その部屋の隅の人も、いつもいるの?」

 

ゆみは興奮気味に答えた。

「それも視えるんですか?」

リリーは、ゆみを真っ直ぐ見つめたまま、ゆっくりと頷いた。

 

ゆみは急に大きな声を出して泣き崩れた。

「私…ヒッ…ク…

 

誰に話しても…

 

信じてもらえなくて…

 

私がおかしい…のか…もって・・・グスッ」

 

リリーは優しい瞳で見つめながら柔らかい声で言った。

 

「辛かったわね…

目の前に起きてる事を母親に言っても全く信じてもらえずに

病人扱いというか、変人扱いを受けるって、本当に辛いと思うわ」

ゆみは泣き続けながら、何度も頷いた。

 

「もう大丈夫!あなたの見えているものは全て、事実です。

見えないものが見える人たちには事実です」

リリーは、ゆみの肩をトントンと叩いた。

 

ゆみは泣きながら

「この人たちは、どうしたら良いのでしょうか?」

と質問した。

 

リリーは微笑みながら答えた。

「この人たちは危害は加えないわ。

でも、帰ってもらって、この通路の場所に結界のシールを貼るわ。

そうすると、しばらくは静かに暮らせると思うから」

 

リリーは続けて話した。

「あなたの子供たちも視えると思うから、

そこは、あなたは理解出来るだろうから全面的に受け止めてあげて。

あなたがお母さんに全否定された様な想いを子供たちには、させないであげてね」

 

山岡が口を開いた。

「ゆみの言ってる事は本当だったんだね。

私、全く分からんし、そんなことあるかって対応してたけど…なんか…ごめん」

 

ゆみは泣きながら

「やっと、分かってくれたの?グスッン…でも…ありがとう、お母さん…」

と答えた。

 

山岡は大粒の涙を流しながら

「本当、ごめん」

とハンカチに顔を埋めた。

 

親子の会話をしている最中に、リリーは霊体に帰ってもらって結界のシールを貼った。

 

結界のシールとは、リリーが呪文を唱えながら指で描く特殊な模様から繰り出されるものである。

 

ゆみの家の中の空気をクリーンにして、結界のシールを貼り、家の四隅にビスを打ち、綺麗な空間をつくりだした。

 

それから、リリーは説明をした。

「あなたは娘さんに前世から愛されてるわ。

前世では、結ばれない恋人だったから、この世に生まれるのに、あなたの娘として望んで降りて来たの。

その名残りから今でも、あなたの事が大好きで、たまらないのよ。

受け止めてあげて!」

リリーは軽くウインクをして微笑んだ。

 

山岡は素直に頷いて

「なんだか分からないけど、何となく伝わります」

支離滅裂に答えた。

 

・・・

その日から、ゆみが言う事を信じられる様になった山岡。

 

親子の関係は、とても良好だ。

 

リリーとしても出張鑑定に出掛けただけの結果となったわけだ。

 

めでたし、めでたし・・・

 

・・・

 

今回、ボーイのサトシが出で来ない事に、コアなサトシファンには寂しい回となったかもしれない事を

 

お詫び申し上げます・・・