第25話ー幻の独身

今宵も【Bar Siva】は繁盛している。

 

ボーイのサトシが安定の爽やかさで言った。

「ありがとうございます」

 

オーナーママのリリーはニコリとした後に、タバコに火をつけた。

 

サトシがカウンターのグラスを片付けながら言った。

「今から三浜様が来られます。お仕事がお早めに終わられたみたいで先程、連絡がありました。ママ、定刻より少し過ぎるかもしれませんが、三浜様なのでお受けいたしました。よろしかったでしょうか?」

 

リリーは煙を吐きながら答えた。

「承知したわ。それに、断るわけないって判断をしたのよね?」

 

「はい。三浜様ということもありますし、独断で申し訳ありませんでした」

サトシは丁寧に対応する。

 

リリーは、とってもご機嫌な笑顔で答える。

「サトシ、私のことを良くわかってるし、信頼してるから大丈夫よ」

 

そうこう話してると店のドアが開いた。

 

「いらっしゃいませ」

サトシが最上級の爽やな笑顔で言った。

 

三浜が満面の笑みで登場して、カウンターに座りながら言った。

「イェーイ…何とか来れました。話したいこと山積みです」

 

「いらっしゃ〜い。今日は何呑むかしら?」

リリーがタバコを消しながら言った。

 

三浜はキョロキョロしながら

「ウイスキーありますか?何でもいいんですが、水割りください」

サトシに向かって言った。

 

「ございます。かしこまりました」

サトシがニコッと笑った。

 

「もちろん、リリーさんとサトシ君も呑んでください。乾杯しましょう」

三浜は右手をリリーとサトシに向けて言った。

 

「ありがとうございます」

サトシが大きめの声で言った後に厨房へ入って行った。

 

リリーは一段落をするのを待って言った。

「ねぇ〜三浜って離婚してるわよね?どのくらいだっけ?」

 

「もう1年以上経つと思いますよ〜」

三浜はハンチング帽をかぶり直しながら答えた。

 

「そうなんだよね〜でも、離婚してる人に思えないの…奥さんに聞いてみたら?連絡出来ないの?」

リリーは腕組みをしながら悩む感じで話した。

 

「連絡取れますよ。普通に。息子の話とかもしますし。でも、もう1年ですよ?ないでしょう?」

三浜は一瞬不安になったが、気丈に答えた。

 

「離婚してるんなら良いけど…離婚してる人に見えないんだよね〜。一応、聞いてみたら良いかもね〜」

リリーはサラリと言った。

 

「えー?!まぁ、ちょっと、聞いてみます」

三浜は腑に落ちない様子ではあったが、そう答えた。

 

「そういえば、新しい彼女見つかったみたいね」

リリーが突然切り出した。

 

「えーーー?相変わらずですね。リリーさん…丸裸は分かってますが恥ずかしいですね〜」

三浜は大袈裟に言った。

 

「で・・・今回は体の相性は良い感じね」

リリーがタバコに火をつけながら言った。

 

三浜も当たり前の反応で

「いやぁ〜。恥ずかしいから視ないでください。テクニックありますけど、恥ずかしいです」

淡々と答える。

 

そこへサトシがウイスキーの水割り、ビール2つを持って来た。

 

三浜がニタニタしながら言う。

「生が切れて交換してたから、1番目のビールですね〜」 

 

サトシが

「えっ?気が付かれました?さすが三浜様ですね」

大きめの声で言った。

 

「美味しいとこ、いただきます!」

リリーがグラスを持ちながら言って、続けて

 

「かんぱ〜い!三浜と逢うと笑顔が増すわ〜」

そう言いながら、サトシと3人で乾杯した。

 

リリーはグビグビっと、ビールを呑んだ後に口を開いた。

「あ〜美味しい!って、三浜の合体のテクニックもシーンも視ないわよ〜。そんな映像は早送りね」

リリーは、そういうと笑い出した。

 

「リリーさん、何でそんなに笑うんですか?本当は僕のプレイが見えてるとか?そんな話ですか?」

三浜が慌てた様子で聞いてくる。

 

リリーは笑いながら答えた。

「ない!ないない!ただ、三浜って生き物が面白いなって思って…」

 

「僕って生き物扱いなんですか?ま、確かに生き物ですけど…」

三浜が、そう言ってウイスキーの水割りを一気に呑んだ。

 

・・・

今宵も3人でシワが増える話を繰り広げて夜が更けて行った…

 

とても充実した時間だった。

 

・・・

 

後日、三浜から連絡があった。

 

あの次の日に気になって元嫁に電話をして三浜が聞いた。

「離婚届って出した?」

 

彼女は答えに一瞬詰まったが口を開いた。

「えっ?!何で解ったん?まだ出せてないけど…」

 

三浜絶句した後に

「えー?何で出してないん?」

 

「分かったわ。出すから。それでいい?」

元嫁が開き直った様に言う。

 

あっ!

 

今も戸籍上の嫁だ!!

 

リリーに言われないと結婚したままだった…

 

三浜が興奮して話す内容は、三浜には申し訳なかったが笑いが出て仕方なかった。

 

・・・

 

それから1ヶ月後に

 

離婚成立のハガキが役所から無事届きましたとさ。

 

めでたし…

 

めでたし…