おくりびとー小堀 vol.1
第12話ーおくりびと 小堀の話
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ある日、従兄弟が死んだ
大学で登山部に入り登山の合宿で富士登山の帰りに25kgのリュックを背負って居眠り運転の車に跳ねられたのだ。
お通夜の晩に従兄弟の家の棺桶に亡骸は帰っていたが本人の魂が感じられない。
なので急遽、意識を事故現場の富士山の急カーブの草むらに飛ばして探した。
顔面傷だらけの従兄弟を見つけて話しかけた。
「何しよるん、家に帰らんと!」
彼は訳がわからない様子で
「何で?何で?」と繰り返すばかりなので
「とにかく家に帰って!」と何度も何度も繰り返した、わかってくれたように頷いたように見えた
その日の明け方に彼はお迎えの人達数名に連れられて天に上がった。
お迎えの人達数名に私は会釈をされて
バックライトのスモークがきいた光のエレベーターに乗り
光速で上がった。
葬式では、もう魂が登った亡骸をボーっと眺めているだけで、自分でも理解していたつもりだったけど、棺桶の彼を見ていたら涙が出た。