おくりびとー小堀vol.4
第12話ーおくりびと 小堀の話
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【ホントの意味での往生際の悪い叔父】
福岡の叔父が余命宣告を受けた
親類縁者を集めてお別れ会を
八雲本店の宴会場でやった
叔父に「迷わず成仏するように送るから」と言うと、
悲しい顔で頷いてた。
あとで母親から「余命宣告を受けた本人にあんな事を言うもんじゃないよ」と叱責されたが
撤回してもおかしな事になるのでやめた。
そして半年後のお通夜の明け方
叔父が言ってきた
「ワシ、成仏しとうないんじゃ!オトナの事情で!」
「初孫が生まれたばかり、何もしてやってない。頼むけぇ、ワシの気がすむまで初孫のそばで見守りたいんじゃー!」
そこまで強い想いが残っているなら仕方ないかと思いながら
「わかった、叔父さんの想うようにしんさい、思う存分見守って、気が済んだら成仏するんよ。」そう言ったけど
あれから10年くらいになるけど、まだ東京の初孫のそばで見守っているようだ。